損害保険研究 第77巻第1号
損害保険事業総合研究所
2015年5月発刊
<研究論文>
海上保険法現代化について -国際競争と抵触法の観点から-
京都産業大学法学部教授 吉澤 卓哉
目次
1.はじめに
2.国際海上保険の国際競争性
⑴ 国際海上保険をめぐる国際競争
⑵ 国際競争の法制面での支援
3.国際海上保険契約の準拠法
⑴ 準拠法条項
⑵ 外航貨物海上保険における英法指定外事項の準拠法
4.強行規定
⑴ 強行規定に関する問題状況
⑵ 責任保険特則
5.任意規定
⑴ 任意規定に関する問題状況
⑵ 任意規定としての告知義務
⑶ 危険の変更・増加
6.結論
英国法における保険金不当不正請求の取り扱い -その苛酷さの理由を考える-
三井住友海上火災保険株式会社 星 誠
目次
はじめに
1 DC MERWESTONE 号事件英国控訴院判決
2 英国法におけるFraudulent Claimsルール
3 Insurance Act 2015(2015年保険法)について
4 検討
おわりに
自動運転と損害保険事業 -自動車の自動運転技術の実用化が損害保険事業に与える影響について-
元損害保険料率算出機構職員 大島 道雄
目次
1.本稿の趣旨
2.損害保険事業における自動車・自賠責保険の位置づけ
3.交通事故と自動車保険事故
3.-1「平成25年中の交通事故の発生状況」から見た交通事故の若干の特徴
3.-2 自動車保険事故
4.自動運転および運転支援システムの状況
5.運転支援システムの保険金削減効果
6.自動運転と損害保険事業
<研究ノート>
健康保険の保険者による求償請求に関する一考察
大阪大学大学院高等司法研究科教授 山下 典孝
目次
1 本稿の目的
2 東京地判平成25年7月8日の概要
⑴ 事実の概要
⑵ 判旨
3 健康保険の保険者における代位請求
⑴ 検討の前提
⑵ 健康保険の保険者における代位請求権の趣旨
⑶ 代位請求の要件
⑷ 後遺障害における代位債権の対象となる第三者に対する損害賠償債権の算定時期
⑸ 保険者の代位取得の時期
⑹ 代位取得債権の法的性質
⑺ 代位債権の消滅時効の起算点
4 東京地判平成25年7月8日の検討
⑴ 本件交通事故と症状固定後の治療費との相当因果関係
⑵ 本件和解との関係
⑶ 消滅時効の起算点
5 結語
自賠法16条1項の請求権と労災保険の代位請求権の優劣について -自賠責保険の取り扱いに対する一考察-
株式会社保安企画 取締役リサーチ事業部長 日野 一成
目次
1.はじめに
2.最高裁平成20年判決の概要
3.自賠法16条1項の直接請求権の法的性質
4.最高裁平成20年判決の労災保険給付に対する射程
5.おわりに
<講演録>
高まるERMの重要性
金融庁総務企画局審議官 小野 尚
内容
1.ERM の重要性
2.ERM 態勢整備に向けた取組み
3.ORSA 導入に向けた取組み
4.第4回ERM 態勢ヒアリング結果の概要
ILS(保険リンク証券)市場の最新状況 -発行レート急低下でCATボンド発行が拡大-
ガイカーペンター株式会社 マネージングディレクター 勝山 正昭
内容
1.はじめに
2.ILS(保険リンク証券)の概要
3.スポンサーの観点:ILS の活用動機
4.投資家の観点:ILS の投資魅力
5.ILS 市場の最新動向
6.今後の展望
<判例評釈>
地震デリバティブ取引契約について、当事者間で予め合意された地点に発生した地震が、上記支払条件を満たしているかが争われた事例
島根大学法文学部准教授 嘉村 雄司
<判例研究会>
判決において弁護士費用に相当する損害として認定された金額を加害者側が支払った場合と弁護士費用担保特約に基づく保険金支払義務
上智大学法学部 教授 伊藤 雄司
中国出張中の宴会での過飲による嘔吐物誤嚥によって死亡した事案における傷害保険の死亡保険金支払の可否
同志社大学法学部 准教授 白井 正和
<損保総研事業活動の報告>
2015年度「損害保険研究費助成制度」改定と募集のご案内
目次
損害保険・リスクマネジメントおよび関連分野における研究を支援するとともに,
損害保険事業の健全な発展に資することを目的として,若手および中堅の研究者に
対し,その研究に必要な費用を助成します。
詳しくはこちらをご覧ください→ 2015年度「損害保険研究費助成制度」改定と募集のご案内
損保総研レポート第110号 「国際保険資本規制の動向」 ― 銀行のバーゼルⅢとの比較を踏まえて―
金田幸二主席研究員
目次
1.はじめに
2.金融規制改革の流れ
3.バーゼル銀行監督委員会(BCBS)による国際資本規制(バーゼルⅢ等)
4.保険監督者国際機構(IAIS)による国際保険資本規制
5.おわりに
損保総研レポート第110号 「米国のサイバー・インシュアランスの動向 」
山下潤主席研究員
目次
1.はじめに
2.サイバー・リスクの概要
3.サイバー・インシュアランスについて
4.サイバー・インシュアランスの商品内容と関連サービス
5.米国以外の動向(情報漏えい事故,データ保護法,保険等)
6.サイバー・インシュアランスの今後の展望・課題
7.おわりに
サイズ:A5判