SHK7203

損害保険研究 第72巻第3号

(税込・送料無料)

損害保険事業総合研究所

2010年11月発刊

¥1,650(税込)

損保総研では、研究者と実務家の執筆による損害保険とその関連分野に関する研究・調査発表の専門誌として、本誌を年4回(5月、8月、11月、2月)発行しています。本誌は、本邦唯一の損害保険に関する理論および実務の専門誌であり、学術的にも高い評価をいただいております。

概要

<寄稿>

ヨーロッパ保険契約法原則(PEICL)の公表と日本にとっての意味

学習院大学法学部教授 小塚 荘一郎

目次

Ⅰ PEICLとは何か
1.本稿の目的
2.作成の経緯
3.背景事情
Ⅱ PEICLの内容と特徴
1.形式と章立て
2.EU保険法・消費者法との関係
3.立法の形式
Ⅲ 世界の保険法とPEICL
1.消費者利益の重視
2.日本法との比較
Ⅳ 結語 - 日本にとってのPEICL

標準約款における保険法対応について

損害保険料率算出機構 木津 英勝・内山 浩一・須藤 芳樹

目次

1.告知義務

(1)新約款の条文

(2)旧約款の概要

(3)新約款の趣旨

 ① 告知義務

 ② 因果関係不存在特則

 ③ その他の改定

2.通知義務(危険増加)

(1)新約款の条文

(2)旧約款の概要

(3)新約款の趣旨

 ① あらかじめ通知の撤廃

② 通知義務違反による解除要件の限定

③ 他保険告知

④ 因果関係不存在特則

⑤ 引受範囲外の扱い

⑥ 危険増加に伴う追加保険料の不払による免責について

⑦ 通知事項(競技・曲技等、危険物積載)【自動車】

3.重大事由解除

(1)新約款の条文

(2)旧約款の概要

(3)新約款の趣旨

4.保険給付の履行期

(1)新約款の条文

(2)旧約款の概要

(3)新約款の趣旨

 ① 起算日

② 確認事項

③ 支払期限

④ 調査妨害等

5.損害保険固有事項

5-1 保険価額(超過保険・保険価額の減少)

5-2 重複保険

5-3 請求権代位

6.責任保険固有事項

7.傷害保険固有事項

7-1 被保険者同意

7-2 被保険者による保険契約の解除請求(離脱)

7-3 保険金受取人の変更

8.その他

8-1 消滅時効

8-2 無効・取消し

8-3 解除等の場合の保険料返還

8-4 不実申告(事故発生時の義務違反)

<研究論文>

金融機関の形態変化と株式市場の反応:上場保険会社に注目して

青山学院大学経済学部教授,京都大学経営管理大学院教授 白須 洋子

目次

1.はじめに
2.上場保険会社における提携やM&Aの状況
3.分析の方法および論点
3.1 論点
3.2 イベントスタディー
3.3 残差に対する回帰分析
3.4 SUR方程式推計
4.データ
5.実証分析
5.1 論点1
5.2 論点2
5.3 論点3
5.4 論点4
結論

船体引揚げによる遺体収容と保険

海上保安大学校准教授 清水 耕一

目次

1.はじめに
2.引き揚げの経緯
3.人命救助・遺体捜索に関する法律状況
3.1. 海上保安庁による海難における人命救助
3.2. 船員法による海難における人命救助
3.3. 商法による海難における人命救助
3.4. 漁船保険約款による海難における人命救助
3.5. 小括
4.船体引き揚げによる遺体捜索及び収容
4.1. 世論と政治的状況による保険金支払い
4.2. 船骸撤去費用の保険金支払いは漁船保険組合の裁量の範囲内か
5.遺体捜索及び収容のための費用を担保する保険
5.1. 現状の漁船船主責任保険の制度の拡充とその問題点
5.2. 家族による船体引き揚げ費用を担保する保険の可能性
むすび

消費者の期待に応える地震保険の検討にむけて -地震保険に関する消費者意識調査・実施報告-

野村総合研究所 野崎 洋之

目次

1.はじめに
2.調査概要
3.調査結果
3.1. 保険の目的別 地震保険加入率
3.2. 世帯年収別 地震保険加入率
3.3. 地震保険の加入または非加入の判断をする際の検討状況
(1) 地震保険について検討をした上で加入した人
(2) 地震保険について十分な検討をせずに加入した人
(3) 地震保険の非加入者(まったく検討していない人)
4.おわりに
(1)  地震保険の理解促進
(2)  魅力的な商品の開発

1960~2000年度の損保マーケットにおける企業行動(企業間競争と生産構造比較)

元損害保険ジャパン 青木 宏一朗

目次

[はじめに]
1.先行研究
2.市場における企業構造の推移(競争結果としての成長比較)
3.企業の成長特性を支えた生産構造
(1) 損保生産物(生産額)の変動とは
(2) 長期的な生産構造(40年間の通期で捉える)
(3) 各期の生産構造
① 二つの成長期の概括的な比較
② 高成長期
③ 安定成長期
④ 成長下降期
まとめ

<研究ノート>

米国の国家洪水保険制度(National Flood Insurance Program)

MS&AD基礎研究所株式会社 有賀 平

目次

Ⅰ.はじめに
Ⅱ.制度発足の経緯
Ⅲ.制度概要
1.NFIPの目的と基本姿勢
2.洪水リスクの認知
3.保険制度とその普及策
(1) 保険制度
(2) 制度普及策
(3) その他の制度との関係
4.災害の軽減
(1) 地域単位での保険制度への加入
(2) 保険料割引
(3) 特約保険金
(4) 反復損害物件対応
(5) 地域の行う防災対策への支援
Ⅳ.近年の動向(課題)
1.2005年のハリケーン被害
2.発生した問題
3.保険制度に関する問題点
4.所得再分配機能に関する問題点
5.運営管理に関する問題点
6.問題解決の困難さ
Ⅴ.まとめ

<講演録>

ソルベンシー規制改定と今後の方向性 -収益・リスクマネジメントに与える影響とその対策-

キャピタスコンサルティング 森本 祐司

内容

1.今回のソルベンシー規制改定案の概要について
(1)改正の経緯
(2)改正の概要
 a)支払余力(マージン)の改正
   繰延税金資産の算入制限
   保険料積立金等余剰部分など
 b)リスクの改正
   一般保険リスク相当額
   巨大災害リスク相当額
   最低保証リスク相当額
   価格変動リスク相当額
   信用リスク相当額
   信用スプレッドリスク相当額
   デリバティブ取引リスク相当額
 c)その他
2.中期的見直しの方向性
(1)方向性は明確に
(2)金融危機の影響はあるか
(3)欧州の最近の動向
3.保険会社の収益・リスクマネジメントに与える影響
 a)短期的見直しが与える影響
 b)中期的見直しが与える影響
4.対応すべき事項および課題
5.おわりに

<判例研究会>

損害保険代理店の立場を悪用して団体傷害保険契約に加入した無資格の被保険者による保険金の請求が権利濫用に該当すると判断された事例

神戸大学准教授 榊 素寛

弁護士賠償責任保険約款における「他人に損害を与えるべきことを予見しながら行った行為」の意義

東京海洋大学准教授 金岡 京子

<損保総研事業活動の報告>

損保総研レポート第92号(2010年6月)サマリー

(財)損害保険事業総合研究所 研究部

目次

「民事訴訟費用ルールと訴訟費用保険 -イギリスの訴訟費用改革案を踏まえて-」
(秋葉 勝敏 損保総研 研究部 主席研究員)
「極値事象のリスク管理 -カタストロフィ(CAT)と極値理論(EVT)など-」
(吉澤 容一 損保総研 研究部 主席研究員)

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