火災保険契約では、火災リスクのほか水災リスクに対する補償も付帯されるのが一般ですが、近年の洪水災害の多発化・激甚化に伴う保険金支払の増加により、火災保険料率の引上げが続いています。しかし、これまで、個人向け火災保険では、水災リスクに係る保険料率に保険契約者ごとの水災リスクの違いが反映されず、全国一律の保険料率となってきたことから、水災リスクが比較的低い地域に居住する保険契約者(「低リスク契約者」)からは、水災保険料率を一律に引き上げることに対して納得感が得られにくく、このことが水災リスク補償を付帯しないという行動(水災補償離れ)につながっているとの指摘もあります。
金融庁では、このような動きを踏まえて、「火災保険水災料率に関する有識者懇談会」を設置して水災リスクに応じた火災保険料率のあり方(水災料率細分化のあり方)に関する検討を行いました。
本講座では、同懇談会の座長を務められました京都大学大学院法学研究科の洲崎博史先生をお招きし、本年3月31日に公表された報告書に基づき、水災料率細分化をめぐる動きや今後の展望について解説いただきます。
【講義項目】